2024/12/27
屋根工事築10年以上の方向け家の部位について

屋根カバー工法(重ね葺き・カバールーフ工法)とは

屋根の「カバー工法」とは、既存の屋根の上に、防水シート(ルーフィング)と新しい屋根材をかぶせる施工方法のことです。

「重ね葺き」「カバールーフ工法」と呼ばれることもあります。

カバー工法は基本的に「スレート」や「軽量金属屋根」などのような平板の屋根材の上からであれば、施工可能です。

特に「スレート屋根」の上に「ガルバリウム鋼板屋根」を重ねるケースが多く見られます。

新しく重ねる屋根材には、軽量な物を採用するのが基本です。

ガルバリウム鋼板の他に「アスファルトシングル」などを使用する例があります。

瓦屋根風のデザインに仕上げたい場合には、ケイミュー社の軽量瓦『ルーガ』を施工する場合もございます。

屋根を一度剥がして張り替える「葺き替え」工事を行う場合であれば、剥がすときの手間がかかります。

既存の屋根材が2004年以前に製造された「スレート屋根(カラーベスト・コロニアル)」の場合は、

人体に悪影響を及ぼす「アスベスト(石綿)」を含有している可能性があり、屋根材の処分費が高額になってしまうことがあります。

一方、解体作業を必要としない「カバー工法」は、短期間に低コストでリフォームできることから人気を集めています。

屋根カバー工法

屋根のカバー工法(重ね葺き)の費用相場

カバー工法にかかる費用は、新たに採用する屋根材、建材のグレード、足場代、屋根面の数によっても左右されます。

例えば、屋根の面が二つである「切妻(きりづま)屋根」であれば、安く済む傾向があります。

一方「寄棟(よせむね)屋根」など面が多い屋根や、複雑な形状の屋根の場合は、金額が比較的高くなります。

屋根のカバー工法(重ね葺き)費用は100〜250万円前後で実施されるケースが多いです。

最終的な金額は屋根の大きさや形状・状態によって変動するため、実際には現地で計測する必要があります。

また、作業時は高所作業になるため、基本的に足場は必ず必要になります。

足場代は㎡によって異なりますが、15〜20万円前後になります。

屋根のカバー工法のメリット

メリット① 断熱性・遮音性・防水性の向上

既存の屋根と新しい屋根の二重構造になるので、断熱性・遮音性・防水性がアップします。

特にガルバリウム屋根で雨音が気になっている方にはおすすめです。


メリット② リフォーム費用が安い

カバー工法は、元々あった屋根の上に新しい屋根材を重ねる工事のため、古い屋根材を撤去するための人件費・廃材処分費が発生しません。

そのため「葺き替え工事」の場合と比べると、リフォーム全体にかかる費用が安価です。


メリット③ 工期が短い

葺き替えの場合は、古い屋根を取り外す作業がありますが、カバー工法は省略できます。

通常、葺き替えリフォームの場合は工事期間が3週間程度かかりますが、カバー工法であれば2週間程でリフォームが完了します。


メリット④ 騒音やホコリのトラブルが少ない

屋根を交換する際には、古い屋根材を撤去するため、騒音やホコリが舞い、ご近所からクレームが来る場合があります。

カバー工法であれば、工事中の騒音やホコリが発生するリスクが少なく工期が短いため、周囲の方に迷惑をあまりかけずに済みます。



メリット⑤ アスベストにも対応できる

2004年以前、スレート屋根の材料には、がんの原因になりやすいアスベスト(石綿)が使用されていました。

現在では製造・販売・使用共に中止になっていますが、まだ屋根にアスベスト材が含まれる建物も残っています。

葺き替え工事を行うとアスベストの処分費用が高額になり、解体時にアスベストの飛散防止対策をする必要があります。

カバー工法なら、屋根を壊すことなくリフォームできるため、このようなリスクが少ないです。

屋根のカバー工法のデメリット

デメリット① 修繕費に火災保険を活用したい場合は不向き

原則として火災保険は台風や強風などの自然災害で破損や雨漏りをした際の現状回復のための修繕費となります。

そのため、火災保険を活用して修繕をご希望の方にとってはカバー工法はグレードアップする施工になるため、申請ができません。


デメリット② 耐震性に影響する可能性がある

カバー工法は屋根全体の重量が増えてしまうため、耐震性能が少々低下します。

しかし、戸建て住宅に多いスレート屋根に、軽量な金属屋根材でカバー工法を行ったときの総重量は、約23〜26kg/㎡程度です。

昔ながらの住宅で見られる瓦屋根(約60kg/㎡)と比べても、カバー工法でリフォームした屋根のほうが軽いです。


デメリット③ 瓦屋根には、ほぼ対応できない

元々ある屋根の上に、フラットな金属屋根材などを固定するのがカバー工法の方式です。

波型の形状の屋根や、厚みがある屋根材の上には、固定することが難しく、

陶器やセメントで作られた日本瓦の屋根は、カバー工法には不向きのため、葺き替えをおすすめしてます。


デメリット④ 屋根内部の腐食が進行している屋根には施工できない

木材が腐食していると新しい屋根材を固定する際に釘を打つことができません。

屋根の下地が腐食しているときは、その上から新しい屋根をかぶせるだけでは危険です。

下地から腐食している屋根の場合、まずは補修を行う必要があります。

専門家に相談して最適な解決策を

屋根カバー工法は屋根材が二重になる分、重量増加はどうしても避けられない工事です。

しかし、耐震性に大きな影響をあたえるほどの負担がかかるわけではありません。

屋根材が二重になることで、断熱性や遮音性が高まり、雨漏りリスクも低減できます。

他にも、屋根葺き替えよりも施工費用が安く、短い期間で工事が終えられるといった魅力もある施工方法です。

屋根リフォームをお考えの方は、選択肢のひとつとして屋根カバー工法も是非ご検討してみてください。

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